設立50周年

高野切「よをすてて」修復・展示

50周年記念事業として修復された水戸徳川伝来の高野切。古今和歌集におさめられた凡河内躬恒の歌「よをすてて やまにいるひと やまにても なほうきときは いつちゆくらむ」をしたためた伝 紀貫之筆の短冊を五行に散らし、切り接いだものと考えられています。高野切第三種の代表作と名高い流麗な線と軽快な筆運びが見事です。上下の牡丹の上に金糸を左右に渡した緞子は非常に珍しく、中国・明時代もしくは朝鮮古渡りの織物と考えられています。1年あまりの修復を経て約25年ぶりの公開となりました。掛けられた釣月庵の「聴巨洞」の障子から漏れる光をまとい静かな存在感を放っていました。

銘木が美しい三畳向切の小茶室、聴巨洞。掛け軸は高野切「よをすてて」、添えの香合は花弁を取りあげただけの簡素なたたずまいに深みと気品が感じられる明代の優品・堆朱茘枝花形地香合。2つの名品の得も言われぬ美しさと見事な調和に、訪れた方々は感嘆の吐息を禁じえませんでした。

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